sumanai’s blog

申し訳ない想いを寄せて

「越路吹雪物語」雑感(2018.3.23)

このドラマ、昭和の頃の物語のテイを取りつつも実は世相にくすぐりをかけてくるトコにニヤリとする。明らかに、今を生きている視聴者に向けたメッセージをまぶしてるんだよな。コーちゃんが東宝から独立した回でピンときたんだけど、3月23日放送の第54回もなかなか大したモンだった。

 

この回のテーマは「越路吹雪、紅白卒業。」。

→「紅白卒業」ってフレーズを編み出したのが越路吹雪だったとは初耳だけど、コーちゃんが宝塚出身でそこは学校みたいなトコで「退団を卒業と呼ぶ風土」だという背景を知ると納得。

 

紅白出演の時期と自分のリサイタルのリハーサル時期が被って、毎年キツい年越しをしてたコーちゃんが。

「あれ?紅白卒業すればその分リハーサルに回せるんじゃ?」

と気づいたの慧眼だけど、実行するには勇気がいることであったろう。

 

慧眼と言ったのは、越路吹雪にとって紅白をはじめとするテレビ出演は自分のリサイタルに来てもらうための不特定多数に対する撒き餌だったんだろうけど。当時既に越路吹雪のリサイタルは入手困難なプラチナチケット(とウチの老母が言ってた)で、忙しい合間を縫ってテレビに出る時間と労力を、自分のために直接お金を落としてくれるファンのために割く方針を決めたトコ。

 

勇気と言ったのは、当時の目玉番組・紅白を辞退することによってNHKのご機嫌を損ねてしまう可能性があること。業界からも、わざわざ忠告してくれる「親切な方」が出る始末。

→このへん今のネット上の、別に利害関係もないトコからいきなり上から目線でご注進してくださる「親切な方」と変わんねーよな。

 

んで卒業宣言のあと、行きつけのレストランで美川憲一(本人登場!)に出くわして。美川に「紅白で越路さんと同じステージに立つのが好きだったのに!」と、美川の紅白愛にあふれた一言を受けるも、お得意の人たらしで美川に「こうなったら、紅白に出続けてやる!」と言わしめたコーちゃんすげぇ。

→要するに、ここで本作の視聴者にもいるであろうガチ紅白原理主義者を懐柔してるんです。このシーン!

 

こういう辺りを盛り込むなんて、もしかして脚本家の方がスゴい方なのでは?と思って調べたら、あにはからんやスゴい方だった。

 

龍居由佳里氏、「星の金貨」の方だった。あのドラマから20年、着実に技量・熱量を上げていたんだなと実感。次作はなんだろう、チェックしておこう。

 

すまない。

 

永遠の越路吹雪/日生劇場リサイタル’70 [DVD]

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