sumanai’s blog

申し訳ない想いを寄せて

「タクシー運転手 約束は海を越えて」

1980年に起きた「光州事件」秘話であるこの映画、いろいろ考えさせられた。まず驚いたのが1980年当時の韓国の社会事情のリメイクの再現度。まだ庶民のお茶の間には白黒テレビが鎮座、タクシーの仕様は元ネタが日本なのがなんとなーくわかるうえ、出てくる人たちの服装がちょっと垢抜けないんだけど。当時を忠実に再現するのに最終的にナンボかかったんだべと思ってしまう。

 

主人公は生活のためとはいえ小ずるいトコがあって、でも他人からぶんどった仕事で出会った光州の人たちがいい人たちで、この人たちのために一肌脱ぐまでの展開が素敵。光州のごくごく普通の人たちが民主化を求めてデモを行い、そんな市民に対して勝手に「アカ」認定して銃弾を浴びせたのが戒厳令下の軍部。こいつらがまーとんでもない偽善者で、戒厳令の名の下外部との出入りをシャットアウト、電話も普通、地元マスコミに圧力かけてもみ消そうとしたんだけど。そういう驕りが軍側のコードネーム「華やかな休暇」に如実に表れてる気がする。ホントこういうの古今東西あいつらがやりたがる手段なんだけど、いつだって火のないところに煙は立たぬ。案の定もれて世界中から軍部が糾弾され、後の民主化への大きな道標となった。

 

そりゃよ、政治の臭いは感じたよ。「これって遠回しのプロパガンダ映画かも」とも思ったよ。具体的には「封切りされた2017年当時の韓国では。アンチ・パク・クネ、アンチ・パク・チョンヒな時流におもねった映画なのかも。」とも思ったよ。でも、こんなにお金かかって、小難しいトコが一切なくて、エンタメ要素もあって、エンドロールが流れた後「いい映画だったな」って思えるプロパガンダ映画が今の日本に作れるか?といいたい。特に「万引き家族」を国辱映画呼ばわりする連中とかにな。

 

ほんと、もし今の日本がプロパガンダ映画つくると観念的なオナニーみたいなロクな仕上がりにしかになんない挙げ句によ。ネットじゃ「これが理解できないヤツは日本人じゃない」呼ばわりされるに違いねーんだよ、これが「美しい日本」かよと思うと悲しくなってくる。でも、我慢しろ堪えろ辛い日には歯を食いしばって「おっかさん」と言ってみろ生きろ!

 

すまない。