平谷美樹「義経暗殺」(双葉文庫)
「こいつ、いつの間に書いてやがったんだ?」
平谷美樹氏の新作が書店に平積みになる度、いつもそう思う。ちょっとペース早すぎやしないか?
2018年3月。小学館から「鍬ヶ崎心中」が刊行。早速購入してイッキ読みして「ああ、平谷節はいいなぁ。もう一冊読んでみるか。」と調べたら愕然、「鍬ヶ崎心中」よりたった一月前に双葉文庫より「義経暗殺」が刊行されてたじゃないですかーッ。もう、多作とかそんなレベルじゃない。
それで、「義経暗殺」というタイトルでピンときた。
「平谷氏、義経ものはこれで三作めか・・・。」
・「義経になった男」(ハルキ文庫)
に次ぐ三作め(記憶が確かなら)、同じネタを何度も遣い回す船場吉兆かよと。実際に本作、「義経になった男」と登場人物がかなりカブるんですがとささやき女将してみるが(古いか)そこは無問題。同じ義経ものだけど、今回は密室殺人ミステリーのテイで進行する異色作。しかも、「義経になった男」と同じ登場人物が本作ではキャラ変されてて「おっ」と思った。
本作のあらすじ。
兄・頼朝に追われ平泉に戻った源義経を巡って、奥州藤原家内でも義経擁立派と反対派に分かれて紛糾する中、源義経が自害。擁立派・反対派とも義経を殺害する動機があるなか、鎌倉側の「義経の首級をだせ」要求も余談を許さず。武蔵坊弁慶をはじめ、主を失った義経の部下の様子もきな臭い(えっ?)、そんな中で主人公・清原実俊が探偵よろしく平泉を縦横無尽に聞き込み調査するわけですよ奥さん!
天才すぎて人の心の機敏に共感できない主人公が、事件の調査を通して成長する物語でもあり。うっかり泣かされてしまうシーンもあったんで、県南地方の方は読んでください。
せっかく連休なんだ、平泉に久々行ってみんべかな。
すまない。