sumanai’s blog

申し訳ない想いを寄せて

本川達雄「ウニはすごい バッタもすごい デザインの生物学」(中公新書) 

本川先生の著書を読むの、かの名著「ゾウの時間 ネズミの時間」以来の四半世紀ぶり。あの頃オレ大学生だった、今おっさんになった。もちろん本川先生もおじさんからおじいさんになってる訳で、本著でも関節痛がヒドいとこぼしていて。こうやって先生が老いを受け止めつつ精力的に著作を続けて生物学の素晴らしさを世に伝えてくださっていると思うと 、頭の下がる思い。

 

本書では、最終章を除きあらゆる無脊椎動物を紹介してるんだけど。正直、下等生物というイメージがあるサンゴや昆虫や貝やホヤが。実は相当、置かれた環境に最適化されつくしたデザインがなされていて。しっかり置かれた環境に根を張って花を咲かせていることに感銘を受けた。

★オレ、どこ行っても違和感を感じてなかなか馴染めないというに!

 

特に感銘を受けたのは、ナマコの生態。 彼は砂浜に潜み外 敵から身を守ったうえで、砂粒を食べ続けて砂粒に付着した有機物から栄養を摂取するという、無駄がない省エネなデザインなんだけど。

★それって、腕時計で例えるとチープカシオじゃん!

→傍目から見ると時代遅れに見えつつも、10年間電池保ちする省電力設計。

→かつ、軽く薄くかつ低価格でありながら最低限の仕様を充たしていることは賞賛に値する。

 

で、とにかく省エネなナマコ様とは真逆の立場にいるのが無駄に動き無駄 に考える脊椎動物、それも魚類を抜いた四肢動物で。いわばコイツら時計で例えると、毎日充電が必要なくらいエネルギーを消費しまくるスマートウオッチみたいなモンなんだよな。

 

とはいえ、それにも事情がある。 こいつらの祖先が水中から陸へ揚がったとき、そこはヌルい楽園・水中とは異なるハードコアな現場で。そこで生き残るために自らの身体を改造する必要があったことを実感。 具体的には。

・重力に耐えうる、強度あ る骨格。

・エサを捕まえ、捕食者から逃げるための運動能力。

・海中時代に比べて、食べづらいエサを確実に栄養にしてしまう咀嚼能力&消化機能。

→具体的には、腸内に微生物を常駐させて消化を助けさせてるのがスゲー。

→口の中に入ったエサを飲み込むために舌が発達して、やがてその舌が愛情表現の手段となり。遂には言語まで発するようになったって設定、尊いと思いませんか?

 

うん、生き物はみんな違ってみんなイイ。 宇宙船「地球号」の乗組員どうし、仲良くやっていきたいなと思う。

(ただし、コミュ障上司は除く)

 

すまない。