sumanai’s blog

申し訳ない想いを寄せて

草凪優「奪う太陽、焦がす月」(祥伝社文庫)

官能小説で感動したのは、映画化もされた「完全なる飼育」以来20年ぶりだった。草凪優先生、今までなんとなく名前は知ってたけど。こんなにスゴい方とは思わなかった。今にして思えば、なぜ草凪先生の名前を知ってたかといえば。偏に出版業界・書店員の間で評判がよかったからなんだろな、何度となく新刊が平積みプッシュされてて、たまたま去年の今ごろ手にとって帯コピーにざっくり刺さった。

 意外な素顔と初々しさ。

定時制教師が

欲情の虜になったのは

二十歳の教え子だったーーー

そう、早いハナシが教師と高校生の禁断の愛ものなんだけど教え子が二十歳だから無問題(たぶん)。きょうびの官能小説界は、その辺まで気を遣ってんだなと実感。

 

しつこいけど、三十歳の主人公(定時制教師)が二十歳の高校生(問題児)と一線を越えてしまう物語で、主人公には妻がいて。実は妻は10歳年上、大学生だった二十歳の頃に講師だった妻と出会ってしまって、いろいろ教えてもらったという事情で。その後かくかくしかじかで、三十路の主人公が二十歳の学生にいろいろ教えてしまうという「伝承」がこの物語の通奏低音で。

 

この辺は中盤にさしかかる辺りから感じてて、

「あーはいはい、主人公は教え子と妻との間で揺れ動いたあげく3Pなんでしょ?」

とか思っていたら、まさかこういう展開になるとは思わずにいた。

 

結局、草凪優先生の力量にひれ伏すしかない。

☆官能小説の世界に、貧困問題とかアレとか入れんなよ!

→うっかり、読後に泣かされてしまった。

 

これが映画やドラマになったら、どう展開するのか?キャストは誰になるのか?とっても気になってしまう。草凪優先生は官能小説のジャンルに居続けてはいけない人だし、本作はただの官能小説なんかじゃない。

☆すっげぇ、官能小説だ!

 

すまない。

 

 

奪う太陽、焦がす月 (祥伝社文庫)

奪う太陽、焦がす月 (祥伝社文庫)